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特集記事

Vol.123 -- 2010 年 07 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

 第16回<自転車が起こす人身事故>

   我がもの顔に車道と歩道を駆け回る自転車は、日本の大都会の典型的な風景だ。轟音を立て街路を疾走するオートバイも、傍若無人と言う意味では、日本特有の情景だ。特集テレビ番組で、自転車に乗り、歩行者を死亡させ数千万円の賠償を宣告された数例をあげていた。多くの加害者は自分の責任で歩行者に死傷を負わせても、逃げ回って償いはしない。日本はそう言う人間を放置する社会なのだ。さて、日本で自転車が起こす人身事故とそれによる被害を大幅に減らすにはどうしたら良いのだろうか。第一は、自転車の使い方を徹底的に指導することである。第二は、自転車が走る運転環境を整備することである。第三は、人身事故が起きた時の処理、すなわち、当事者と警察と救急の対応と、被害者が受けた被害の補償の整備である。
〈運転の仕方〉
自転車は軽車両として交通規制を受けるが、免許がなくても運転できるため、使い方を指導しない。自転車の事故撲滅には、「自転車の運転」と言う名前の科目を作り、小学校高学年、中学校、高等学校、大学、成人学級で繰返し教えるようにしたらどうか。この科目では、「動く自転車」で科学技術的な内容を、「自転車の通行」で軽車両としての交通法規を、「事故の責任」で事故が起るときの法的責任を、「自転車の入手と放棄」で自転車の運転者が守るべき入手放棄と駐輪を教える。自転車の全てを、知識として知り、運転も事故も警察との立会いも、体験として知らせる機会を作ると良いと思う。この一科目で、機械的特性、法律の認識、事件の取扱い、人身事故と言う、まことに多彩な科目内容を身につけることが出来る。この複雑化する世の中で生きるには、物事の総合的な知識がますます必要になっている。
〈人身事故〉
スタンフォード大学で、日本人の家族と大学書店前の広場を歩いていたら、白人の女子学生が自転車で通りがかり、歩いていたこの家族の赤ちゃんを轢いて転がした。私は警察を呼んだらと言うと、この日本人の父親は大した事はないから良いですと言い、この女子学生を放免した。この赤ちゃんが白人だったら、当然警察を呼び、ただではすまなかっただろう。今だったら、救急車で病院に運び骨折の確認にX線写真をとるとか脳波の測定とか大事になるところだ。自転車は自動車と同様に、人身に危害を加える凶器に「何時でもなり得る」。それは自転車が「重いもの」と「動くもの」であると言うことから起る。人身事故を起こすことでは、自動車でも自転車でも責任の重さは違わない。日本では歩行者に死傷を負わせた処罰は軽く、受けた被害の補償は加害者が逃げ回り、にぎりつぶされる。殺意がなくても、他人を殺す結果となった「結果殺人」は「過失」ではなく殺人として扱われるべきだ。他人を死に至らせると言うことが、いかに重大な犯罪であるかを、世の中と犯人に思い知らせ、このような犯罪をすこしでも減らす努力が必要だ。
〈運転環境の整備〉
運転環境には都市計画、道路計画、道路整備などが関係している。古都を除いては日本には都市計画も道路計画も西欧のように十分整備していない。その理由は、米国では私有地の分割に大きな規制があり、道路のための土地買収に関して役所の権力が強大なのに、日本では有力地主の権利が大きく、宅地は細分され、都市部では道路が中断され、道路に割り当てる土地が狭められる。その割には、投資で買った地方の私有地は、役所が道路化と称して無償でどんどん削る。大都市の道路は狭い上に、路肩から電柱が中央側にせり出している。東京の世田谷では細い農道がそのまま公道となり、タクシー泣かせだ。住宅地の細い道路で大きな路線バスがすれ違う。そして幹線道路では違法駐車が多く、歩道に店のたて看板が出され、さらに違法駐輪で狭くなった歩道を、自転車が走り回る。法が改正されないのと、地割はすでに出来ているのとで、車両は現在の環境に順応して、通行と駐車駐輪するしかない。
自転車利用のための環境整備は、利用者が要求するだけでなく、役所と利用者とが接点を見出して協力する必要があることも確かだ。路上の不法駐輪は交通を妨げ、さらに事故が起りやすくなる。駐輪場をあちこちに作っても、日本の自転車利用者は自分が買い物する店の前に駐輪場がなければ駐輪場はあまり利用しない。とにかく、商店街が繁盛する歩道と、通勤駅周辺の違法駐輪はすごい。監視員は巡回しているが、手で払ったあとの蝿のように、一分後にはまた別の自転車が違法駐輪してくる。皆さん、何か名案はありますか。
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(送り先 月刊ハロー編集部)

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