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特集記事

Vol.138 -- 2011 年 10 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

 第31回<原爆と原発を考える その二 放射線風評>

 風評は人間が住む世界中どこでも起こる。それは生活に関して何らかの恐怖があるとき、知識や情報が不足しているときに起こる。放射線に関して風評が起こる理由は、なじめない放射線という言葉、世界で初めての被爆国なのに学校でも教えず、理解していないためだ。今回の原発事故は、物理や数学を身につける絶好の機会となる。これこそが生活科学なのだ。
放射性物質の移動
今回の原発爆発で最大の問題は、「外部に出た有害な放射線強度と量」の推測と「放出された有害な放射性物質の分布」の把握が適切でないためである。放射性物質には足が生えている訳ではないから、自分から歩くことはないが、気流や水流や生体の物理的移動や生体の体液移動に乗って移動する。政府が発表したような「爆心地同心円に従った放射線の強度分布」は「実情」を全く反映していない。私が所属する日本物理学会では、三月末までに地元大学が共同で独立に四千点弱の測定点で行なった地面放射能を測定し発表した。間違った知識をもった政府の指示に従って爆心地の西北に移動した住民達は、最も強い「地面放射能」地に移動する結果となった。政府機関が設置したSPEEDIの観測地点も適切に分布していない。
放射能測定
放射能測定と言っても、今回は人体に影響するのは半減期が長い放射性セシウム元素だ。市場にはこの機会とばかりに、輸入品も含め多くの線量計が出回る。政府原子力機関は、それらの線量計の市場調査や一般使用者への機種の推薦さえしないので、あせった被災者は測定するたびに結果が異なる「設計不良の線量計」を買い、これが民心を惑わせる。今回の直接加害者である東電は、社費で政府機関が認定する線量計を購入して、使用法の指導も行い、地元住民に無料で貸し出すべきだ。そして使用者が採取した線量情報を統計にも生かすべきだ。もっとも情報収集をより正確にするためにはGPS位置情報も同時に取り込む必要がある。国民と政府と東電の信頼関係はこうすれば改善するものだと思う。
政府暫定基準の公表
人体機能に悪影響を及ぼさない放射線強度と被曝条件は何かと言う質問に正確に答えることは難しい。生活環境から受ける「外部被曝限界」と、体内に取り込んだ有害放射線物質から受ける「内部被曝限界」はそれぞれ違う効果を生じる。放射線は「放射線強度」と言う、電球の明るさとかステレオスピーカの音量と同じ概念で表される。正確には放射線を受けるときの強度(シーベルト)だ。放射線量は放射性物質が出す線量(ベクレル)で表される。放射線強度は銀行の利率、放射線量はある期間に貯まった利子だ。事を更に複雑にするのは、生体が放射線の影響を受けるのは「実際に生体に吸収される、放射線の量(グレイ)だ。更に複雑なのは、生物が取り込む放射線量の時間履歴も重要な要素になることだ。ある時間に受けた線量が同じでも、十倍の強さで十分の一の時間では効果が違う。これらを全てまとめて、「この放射線量や強度なら健康に害がない」と言うことは、但し書きが多すぎて利用者には、簡単に理解できない。しかし、人々は毎日の生活で市場へ行き食材を買うので、食材をどう選んだら放射能からの被害を最少にできるか知りたいのは当然だし、一般人を説得できるように、整理した情報を提供するのは政府の仕事だ。
脱原発、脱東電で東京が動き出す
菅前総理大臣は災害復興もせず国民の目をそらすために、新エネルギー政策を口走り民心を惑わせた。昨日のニュースでは、既存の川崎市企業にならって、東京都が港湾地域にガス発電所を建設する計画を発表したが、快挙だと賞賛したい。効率が低い太陽光発電や風力発電に比べ有利で、ガス発電所は地震の被害を受けるが、火事になっても放射能被害はないし、技術的にも危険度は低い。現在の東電の体質は、福知山線事故を起こした国鉄(あえてJRとは言わない)、寄らば大樹で破産した日本航空とどこも違わない。競争者がいないことの独尊も目に見える。このさい、東電の送変電網は切り離して公社帰属にし、東電は発電だけに専念させたらどうか。日本政府は切り札を手中に持っている。思いつきだが、国鉄も線路だけ別の会社が所有するようにして、どこの鉄道会社も国鉄の線路を使えるようにすれば、日本の鉄道事業にも新しい時代がやってくる。そうすれば、航空路線と無駄な競争をして、利権獲得のために無駄な新幹線など作らなくても済むではないか。競争のための資源のむだ使いが行過ぎている。付けは、全て国民に回されることを念頭におこう。いま必要なことの一つは、日本としての事業効率の見直しで国際競争力をつけるのも良い。
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