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特集記事

Vol.145 -- 2012 年 05 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

 第38回<他人ごとの安全確認で生命がおびやかされる>第1部

 今年も恒例の「春の交通安全運動」が展開された。我々日本人が好きな「恒例」と言う言葉の裏面には、「固定観念」により「物事を見直す」ことを放棄してしまう危険が潜んでいる。テレビニュースでは、学校における生徒の「転落死」が取り上げられた。これに関連して、
一、勾配がある駅の乗り場で待つ間「車椅子が移動」を始め、車椅子の障害者は線路へ転落死

二、盲目の乗客が「案内順路」に従い移動、乗り場で線路に転落死

三、子供が校舎や高層マンションから「転落死」

四、三陸大津波で福島第一原発が電源消失で制御不能となり、大量の「放射能が放出」、多数の住民が「長期強制避難」するばかりか、近隣他県へ放射能汚染が広がる

五、北朝鮮の飛翔体が発射されたのに「政府は国民に安否」を報せず時間を過ごした

六、今回の原発異常反応が収まらず、十分な対策が実行されていない最中に、大飯原発の「安全化補修計画」提出だけで政府は「再稼動」を承認した


などの致命的な問題は、私には「われわれ日本人特有の思考過程の欠陥」が原因だと思える。
 「不慮の死」は姿を変えて繰り返される。これら全ての重大事故は「人災」であり、ごく単純な事を「思込みや目的優先で決断」したために起ってしまった。以下具体的に、どんな思込みや手順により、本来なすべき事を無視したかを思い起こしてみよう。
 第一の乗り場(ホーム)に傾斜があるとき、車椅子にブレーキをかけなければ、車椅子が動き始めるのは自明である。この事故は、東急の駅でエレベータから乗り場に出た車椅子使用者が経験した転落死である。このような事故は、車椅子が移動する順路を駅の管理者が車椅子に乗り「実際に点検」するだけで発見でき、事故を防ぐことができる。
 原因は、乗り場へのエレベータを新設したときに、乗り場の「車椅子順路の安全」を確認しなかったためだろう。乗り場の傾斜を平坦に改修する費用を節約したいなら、車椅子使用の乗客が車両に安全に到達する「平坦順路を確保するか、注意書き」すればよい。たったこれだけの事を確認しないために、同様な事故は何回でも起る。駅管理者は「乗客の安全を他人事」と考えていたと言われるだろう。

 第二の盲目の乗客に対する「乗車案内順路」は、乗客で混雑する駅では、目的どおりに機能しないのは理解できる。鉄道の駅や乗り場で、私は車椅子使用者と白い杖の乗客の行動を注視している。不自由がない一般乗客は、障害がある乗客を安全に乗車させることは「鉄道側だけの責任」だと「思い込んで」いる。我々日本人は、「思いやり」や「自然に優しい」と言う言葉を「きれいごととして好む」が、「必要に応じた周辺の支援」が不十分だと感じる。優先席を陣取ったらゆずらず、携帯電話であそんでいる人々は別の良い例だ。私は太平洋戦争直後、日本の鉄道車両で座席に座った米国兵士が、立上って老人や子供連れの女性に席を譲る場面を忘れる事はできない。

 第三の校舎からの生徒の転落死は、テレビ報道によると、過去二十八年間で百二十八件報告され、小学校ではその六割が窓からの転落死だという。私自身を思い出しても、子供はエネルギーが一杯、身軽で猫や山羊のように高い所によじ登る。開いた窓から外へ転落するのは、窓ぎわに「よじ登る物体」が置いてあるからだ。テレビで見た学校の「窓側廊下」の風景は、窓に沿って一様に「棚や用具箱」が置かれていた。学校側の校内安全点検項目には、「窓際の棚や用具箱の撤去」はなかった。担任教師が学級で生徒と事故状況を討議すれば再発は防止できるのに、それもやらなかった。このような話題を学級討議で議論すれば、生徒の意識を高める事ができ、学校が生徒の安全を親身に思っている心が生徒に伝わる。
 また父兄も招いて積極的に話合えば、これまた学校と生徒と家庭との意思疎通が改善される。中教審が学校に配布した安全パンフレットの危険箇所には、窓際の棚も窓も指摘されているのに、そこへよじ登ったための「窓からの転落」には言及していないと言う。子供の発想は大人のように固定的でなく、柔軟性があり創造に満ちている。校内の「安全点検」と「事故状況周知」が適切でないと、転落死はくりかえされるだろう。

※前回の記事中、載せた情報に誤りがありました。早稲田大学の総予算額は一七三二億円、授業料その他は八一二億円、寄付寄贈は二六億円、事業収入は五七億円、補助金は一四一億円に訂正しお詫びします。諸大学の情報は、インターネット上に公表されたものです。

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(送り先 月刊ハロー編集部)

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