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特集記事

Vol.153 -- 2013 年 01 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

第46回<お手本がないと決まらない日本の政策>明治維新以降

何をするにも、「お手本」があるときは楽だ。明治維新(一八六八年)当時の指導者たちは、日本の進むべき道は、天皇を中心とした中央集権的国家体制にそった「近代化」だと考えていた。未経験のことだから、台本通りに行かないとしても、先進国である西欧諸国と言うお手本があった。それに、江戸時代の東京は世界最大人口(十八世紀初頭の江戸の人口は百万を超え、ロンドンは八十五万、パリは五十五万)を抱える文化経済都市であった。この人口を支えるための、生活、経済、情報、教育、水運(全国と藩内)などが発達し、これで産業革命への基盤がすでに出来上がっていた一方、鎖国政策のため、軍事技術や西欧造船技術は十分発達していなかった。明治時代を迎え、さまざまな地固めをしたあと、二十二年目でイギリス型立憲君主制の大日本帝国憲法発布(一八八九年)、二院制の帝国議会が開催(一八九〇年)された。しかし、政党政治の失政が続くと、ドイツ型の官僚主導政治が顕在化し、以後、中央官庁が政治的意思決定をするようになる。そして、軍部が主役を演じる軍国政治に突入し、無謀な太平洋戦争を始め、惨敗することとなる。

〈太平洋戦争敗戦後〉
 日本政府は六法その他を制定し、その第一は新日本国憲法、それから民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法などがある。しかし、それらには明治以来から継承され、十分に改定されていないものも多いので、時代遅れのものを早急に改定すべきだ(例/外国人土地法)。日本政府の社会福祉政策は、北欧型国民社会保険制度の実現を目指しているが、膨大な専従者をかける割に運用の効率が悪く、薬価が高すぎる。日本政府の経済政策は米国と違って、大企業や特定企業が公共事業受注や融資で得をする。これでは、自由な競争原理に基づく経済活動はできない。社会福祉や経済政策で弱者を切り捨てない政策が望まれる。弱者が経済的な保護を受けて成長すれば、それは政府にとって税収増加として戻ってくる。

〈労働力と従業員の扱い〉
 出生率低下で人口はどんどん減り、高齢者の人口比率が増える。若い労働力と購買力が減り、年長者の医療費が増える。最近、雇用定年の五歳延長が法制化されるようだ。年齢が進むほど、個人の能力差が拡大するので、労働対価は「能力の評価」と連動して決めるべきだ。日本の企業は人間の能力を効率よく活用していない。私が米国の通信企業で働いていたとき、従業員の区分は、社員、特技者、時給者となっていた。英語の呼称の直訳で「永久社員」、日本では「正社員」と以前呼ばれた従業員だけが、社内会議に出席できた。デスクワークもやる従業員は、誰でも事務所の中で普通の社員と同じ空間をもらえる。日本のように「下請け」や「外注さん」と言って差別されることはない。一九九〇年頃から米国の景気が悪くなり、終身雇用が出来なくなったので、「永久社員」はエンプロイー「社員」と言う呼称になってしまった。一般に、当時米国のハイテク企業では、一人あたりの従業員にかかる費用は、給料の四割増くらいである。特技者にはこの社員福祉がない(社員でも米国では通勤手当や家族手当などはない)ので、会社はかれらに人材市場に応じて社員よりも高い賃金を払う。その代わり、プロジェクト単位で雇用されるので、これが終了するとお役目終わりになる。かれらは社員公募があるときには応募できる。一般に、米国では電力、電話、ガス、水道など公的産業に近いほど、賃金は安いが健康保険のような福祉条件が良い。

〈お手本なしの政府〉
 混迷の現在、二〇一三年の日本政府には、百四十五年前の明治維新当時のような頼れるお手本はない。日本では、政権が短命になると人事刷新をするので「長期計画」に連続性がなくなり、全てに支障をきたす。とくに致命傷を受ける分野は、国際的な関係を持つ大臣や省庁だ。第一は外交で、外務大臣や大使が毎年変るようでは、相手の国との対話が続かない。第二は経済産業省で、長期の外国との開発計画を成功させるには、発展途上国を支援するような部署の人材を頻繁に移動をしない方が良いと思う。日本の役所は何かと「外部との癒着」を阻害する目的で「配置転換」を定期的に行うようだが、これこそ業務の効率を下げ、専門家は育たない。「癒着」が生じるのは「人間の性(さが)」ではなくて、「組織の作り方」や「業務規則」だと私は思う。米国銀行で私に対する顧客担当者は十年以上続いている。

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