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特集記事

Vol.159 -- 2013 年 07 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

第52回<国際競争を日本社会の「隠蔽体質」>
この六月中旬の報道によると、日本プロ野球の試合に使用される「統一球」が公表されずに変更され、この春から使用されていたことが発覚した。
日本プロ野球団の管理組織である日本野球機構は、新規格の統一球を製造業者に製造させる一方、その採用については口止めをしていた。
一口で言えば、日本野球機構は「隠蔽」して新規格の統一球を供給したということだ。
最大の影響を受けるのは、この統一球で試合をする日本プロ野球団の選手たちだ。試合に使用される統一球が今までと変われば、投げる選手も打つ選手も必要な対処を変える必要になる。
全責任は日本野球機構だろうが、日本の犯罪捜査と同じ手法で、内部に「運が悪い者」を仕立て、彼に責任をなすりつけ、事態を決着しようとする。いつもながら、世の中は世の中で「仕立てられた責任者」の謝罪と辞任を期待する。
日本では、事件の「責任者」の決定を重要視するあまり、事件を起こす体質は修正されず、似たような事故は繰り返し起こる。
欧米では、似たような事件が以後再発しないように、事件が起こった「原因」を突き止めることが重要だと考えられている。
肩書きが好きな日本では、不適格な理事を選ぶ結果にもなる。日本野球機構は、不透明で国際競争力がない集団だと言われるかも知れない。

この統一球事件の前までは、学校のスポーツ部活動やプロのスポーツ連盟では、指導者と指導される側に主従関係があり、精神的肉体的暴力行為の「隠蔽」が、多くのテレビ番組により取上げられた。
また学校におけるスポーツ活動では、年齢差による生徒間の上下関係は「内部規律」が厳しく、落伍者が多出し自殺や拷問の末の他殺も出る。もうとっくに喉下を過ぎた相撲界賭博の不祥事も忘れてはいけない。
欧米では経済発展とともに市民の力が向上し、個人の権利と人間性がより尊重されるようになった。一方、日本では江戸時代以後、儒教、なかでも朱子学が君子・父子の別、上下の秩序、大義名分を旨とした。朱子学は幕府に奨励され、権力者を是認する日本の社会風潮に受け継がれた。
太平洋戦争が終わり民主主義時代になっても、「成績絶対主義」のスポーツ界では、師弟関係による厳しい指導が温存されている。日本の学校教育は、文部科学省が頂点に立つ教育の支配管理体制だ。
この体制で起こるさまざまの「教育実務の不祥事」には「生徒同士のいじめや師弟間の暴力」がある。現場である学校は、生徒にも、保護者にも、教育委員会にも「事実の隠蔽」を定常的に行う。
欧米では、問題が起これば報告して解決するのが常道なのに、日本では起こった問題を隠蔽して問題がないかに装うことが常道になっている。こんなことになるのは、当事者の「平和」よりも管理者の「面子」が重視されるからだ。内部に不満不孝を抱える状態で国際競争に勝つのはむずかしい。

自民党の安倍総理大臣が精力的に売込み外交を展開していることは喜ばしい。さすが自民党は六十年も政治の座を独占してきただけに、民主党とちがい、入れ知恵をする人材との連携には事欠かない。
安倍総理大臣は歴訪する国々で原発の売込みをしているが、膝元の日本では、原発災害からの地域復旧も進んでいないと、昨日飯舘村から戻った支援運動をしている友人が語っている。「汚染残土と汚染水の処理が大幅に遅れている」ため、余った予算が使い切れないと言うのだ。
二年前までの数多くの原発事故と、そののちの現存原発の安全性評価について、「多くの責任転嫁や隠蔽」が行われたのを、世界中が忘れてはいない。
高度成長期に始まった日本の原発建設は、核廃棄物処理費用や原発事故発生がないと言う仮定に始まった。現在は日本の原発の「研究開発」は(独法)日本原子力研究開発機構、「安全管理」は(独法)原子力安全基盤機構が担当している。
ところが、作られた原発の維持補修を行うのは、建設した企業と電力会社が独立法人の指導の元で行っているらしく、「原発の維持補修に特化した事業体」はないらしい。日本が原発を海外に売ると言うのであれば、フランスのアレバ社のように総合力をもつ企業を育てるか、いっそかぶとを脱いで、維持補修はやらないとするかを決心する必要がある。
でも後者の選択なら、現在も残る福島第一原発の事故収拾と、日本に現存する原発の維持補修改造は誰がやるのか。
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(送り先 月刊ハロー編集部)


 

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