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特集記事

Vol.180 -- 2015 年 04 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」

第七十一回 「七十年談話」発表は外交自爆につながる可能性あり
結論として、予定されている総理大臣の「七十年談話」の発表は、その外国語への誤訳の危険もあるだろうから、取り止めた方が賢明と考える。中国や韓国は結託して、日本が「過去の軍国主義による危害を今回どう陳謝するか」と手取り足取り見守っている。相手の欠点を見つけようと構えている点では、日本の国会質疑の場面を思い出せば自明である。多くを語れば中身が薄まり、失言の危険も増える。総理大臣の中東訪問における演説と帰国後の記者会見から、私はそう言う印象を受けた。そもそも、「七十年談話」は発表しなければならないものでもない。そんなことに金と時間をかけるよりも、日本国にとって多くの「国民生活に関するより重要な課題」が待ち構えている。そこをよく考え直してみよう。

さて大国の過去の過ちが如何に相手国に容認されたか、歴史的に思い出してみよう。第二次大戦時代にユダヤ人迫害を大規模に展開したヒットラーの人道的罪を引き受けたのは戦後のドイツ政府だった。地球上到るところを植民地化し、清朝にアヘンを蔓延させ、香港を長期に租借し、世界中から巨額な財宝を手にした英国は、ポルトガルやスペインと共に、あまり被支配国の非難を受けずに済んだ。ところが、中国や朝鮮王朝と当初は朝鮮半島を経由して五世紀頃から千五百年もの長い間文化交流をして来た日本の事情は、かなり違って来た。近代日本は、第一に「欧米列強のアジア植民地化を阻止」したいと言う「責任感」と、第二に十九世紀末までの近代化水準から「日本が東アジアを統率しよう」と言う「野望」が重なり、「神の国日本流軍国主義」が増長し、韓国と北朝鮮と中国を武力侵略してそこの住民を蹂躙したのは、紛れもない事実だ。

私は米国シリコンバレイ(カリフォルニア州北部の先端技術工業地帯)で三十年近く米国企業に現地人として働き生活した。その結果、殆どの米国人は「米国はイラクを武力侵略したのだ」と認識している事実を知った。日本政府はさまざまな「言い訳」をして、「他国を武力侵略」したが歴史教科書には表現させない。いまや世界第二の経済大国になった中国には経済援助も研修制度も必要はなく、きっぱりと中止するべきだ。日本では、不祥事があると「金銭的責任を回避」するために、責任者は「土下座」までする。でも過去の戦争責任については、日本政府は相手方政府に「多額の金銭又は長期借款」を出して「土下座する屈辱」を逃れた。日本が侵略した東アジア相手国の多くは、「日本政府が正面から陳謝しないで済ませることに情緒的な不満」を持ちつづけた。一面では神経質と言われるほどの感情の機微をわきまえている日本人は、相手が「欧米の白人」ではなく「アジア人」であれば態度を豹変する。それをアジア人は見抜いているから、日本人を許さないのだ。それは金銭的問題ではなく、被害国民の民族感情なのだ。

今回の「七十年談話」を私が止めた方が良いと言う理由は、その中でへまを言う可能性が大きいと思うからだ。総理大臣だけが責任を問われるなら良いが、同意しない私まで巻き添えになるのは迷惑な話だ。安倍総理大臣は現在、古い型の思想を持つ政治家だと世界的に認識されている。彼は精力的に世界の途上国を訪問して「資金ばら撒き」をしているが、中国のように賢くやらないから、金ばかりかかり結果は得られない。それならいっそ、国内の社会福祉にその金を使う方が、国民は北欧諸国なみに幸せになれる。さらに運が悪いことには、相変わらず自民党方式のロシア批判米国優先の欧米追従が「国際外交」でうまく行くと期待することだ。日本が米国協調すればするほど、ロシアとその連合国との外交がうまく行かなくなる。米中露の軍事冷戦外交は、男女の付き合い方と似ている。こんなことは日本人が好きな古代中国の歴史書から学ぶことで処理できる。国内の政治でも全く同じで、元民主党総理大臣鳩山議員が勝手にロシアに旅行して、ロシア報道の前で「クリミアのロシア帰属は民主主義的に妥当」だと言わせたりするようでは、話にならない。敵を作りやすい安倍総理大臣がその座を続けたいなら、政治家として必要な意思疎通力と統率包容力に改善努力が必要だ。

結論として、今回の「七十年談話」は、韓北中露との厄介な係争を避けるために止めた方が良い。そうすれば、アジア外交に失敗し政権が打倒されることは避けることが出来ると思う。


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