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特集記事

Vol.214 -- 2018 年 02 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」
徳川文武

第一〇五回 不都合な制度と規格の改善
 ガラパゴス的なことが多いと国際競争に勝つことは難しい。改善が望まれる身近な例を二つほど考えてみよう。それは「学季制度」と「役所の様式」である。

学季制度
 日本の教育制度は、古くは八世紀初めに作られた大宝律令の中に見られる。江戸時代には寺子屋制度もあったが、近代の教育制度は明治時代に教育勅語で理念が示され、師範学校を初めとして、初等教育から高等教育、専門学校など大日本帝国大学に至るまで多くの官学私学の制度が順次作られた。太平洋戦争後は憲法により、保護者に対して、子供に教育を受けさせる義務が定められた。学校制度は米国教育を基本にした、小中高大学の六三三四制度が採用された。戦前、大正時代の学季制度は、私の母が入学した女子学習院では、誕生日に従って春季入学と秋季入学があった。この学季制度による卒業は昭和六年から十一年間続いた。秋季入学の欧米とは対照的に、日本では春季入学に統一されて行った。

  今年は一月中旬の大学入学センター試験は異常気候に見舞われ、降雪地帯では交通機関の障害で入学試験に大混乱が生じた地域もあった。諸外国のように秋季入学にすれば、正月から三月上旬まで雪害の可能性がある日本で、「入学試験時期の不都合」はなくなる。

大学入学に学力試験は必要なのか
 日本における、塾や予備校での進学訓練と学校における正規の勉強の二本立ての常態化は、生徒にも親にも負担が多いと私の目には映る。米国には大学入学の学力試験はなく、願書とエッセイは受験生から、推薦状、生徒の幼児からの成績、何回でも受験できる全国高校学力試験成績は所属校などから送られる。米国の大学は日本のような高額の受験料や入学金は取らない。したがって、日本でも大学入学センター試験だけをやり、大学別学力試験をやめ、正規の学校だけで勉強すれば、受験勉強にかかる塾予備校費用や高額の受験料や入学金など親の経済的負担は大幅に減るだろう。しかし、その代りに高額の授業料を払う羽目になるだろう。そうでなければ、大学は卒業生や企業から多額の寄付金を集める必要がある。返済無用の奨学金が多くの苦学生に与えられれば、これは多くの大学生にとって以前に増して朗報である。

所得税の確定申告用紙と説明書
  三十年間米国住民であった私は、米国の所得税申告用紙と説明書に慣れていた。「申告用紙」は、その「説明書」と同じ番号が付けられ、これとは別に「課題別の冊子」が発行されている。その行き届いたやり方は、納税者を大切にしていることの表れとも言えるほどだ。一方、日本のやり方は、納税者が自分で記入するには、「非常に不親切」に見える。国税庁のウェブでは、必要な文書を的確に探し出す工夫が米国に比べて稚拙に見えるからだ。例として、個人所得税の確定申請書A第二表は所得の内訳、雑所得など、所得からの控除金額などであるが、ご覧の通り「記入欄」が狭すぎる。

  これに対応する米国の第二表には、分野ごとの別の記入用紙(別表 A 項目別控除、B 利子と配当、C 資本損益、D 個人事業収支 など)が用意されており、豊富な例示と共にそれぞれ冊子が用意されている。米国文書の「文字と記入欄の大きさ」は「人間工学的に無理がない大きさ」を配慮されているが、日本の場合は「無理をしてでも狭い空間に押込む」意図がありありとみられる。手書きで用紙に書込むには欄が狭すぎるが、ウェブから用紙にPCで記入すると、その煩わしさは避けられるように改善された。入力したデータは関係する他の用紙にも反映されるようになった。背後にはエクセルとアドビの編集機能が関連入力データを結合している。

東京都の諸税等通知書など
 東京都の諸税納税等通知書(所得税、健康保険掛け金、固定資産税など)はA4判書類バインダに入れるには寸法が大きすぎる。一枚の紙に多くの情報を印刷するには、小さい文字を使うか、大きな紙を使うかだろう。しかし、それ以外の方法もあることまでは考えつかなかったのかも知れない。事業所対応の「多孔とじ」バインダは、我々が普通に持っているものではない。証券会社が発行する取引報告書は横型A4判ではあるものの、記載は横めくり用に印刷してあるため、横型A4判バインダが必要になるのは不都合だ。

  国民がかかわる国の年金や諸保険の掛け金は、暦年で組込まれてないのに、所得税申告を暦年で行うのは理屈に合わない。このような「くいちがい」は、日本の役所の都合で生じるもので、米国では起こらない。上に述べた日本の通知書の異常な寸法も役所の勝手だと言わざるを得ない。もっと一般国民の都合に合わせて規格を決めるべきだと言いたい。



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