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特集記事

Vol.212 -- 2017 年 12 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」
徳川文武

第一〇三回 グローバル人材の育成
 日本の国際的地位が低下しつつあると言われて久しい。十年ほど前の産官学の結論は、「グローバル人材の不足」がその原因だが、これに劣らない他の原因は、いまなお日本が固執する「旧態依然とした精神風土」だろう。成人社会における「グローバル人材」の要素は、知力、能力、適性であり、意思伝達の手段である語学力は「後付け」が可能な能力と考えられている。「適性」は、生来備わっているか、生きてきた環境が醸成したもので「促成」が難しいと言われる。そして文科省は二〇二〇年から小学校三年以上で必須科目に英語を実施する。

小学校低学年での英語教育
 さて小学校で英語を教えるとなると、担当教師を務めるのは誰か。第一は専任の外人英語教師、第二はこれから訓練する今の学級担任、第三は携帯端末の遠隔学習なのか。第一の方法には相応の金がかかる。第二の方法は、ただでさえ多忙な担任の教師が英語指導の講習を受けるのは、時間と精神的に負担が大きすぎる。それなら英語圏で働いた経験者に一肌脱いで英語指導の講習を受けなおしてもらい、その人の居住地域や郷里で携帯端末を使用し遠隔学習を実施したらどうか。

  義務教育で英語を教科に加える費用対効果を考えてみよう。ある統計によれば、自分の仕事に何らかの英語を使うと答えた日本人職業人は、職業人全体の十人に一人以下だと言う。多くの人が外国語は必要となったとき、勉強を始めても遅くはないと言う。義務教育では「外国語」は「選択科目」とするべきだと思う。理由は、技術進歩により携帯端末の外国語翻訳で十分実用になるからだ。観光案内や店舗での外人の接客は十分可能で、義務教育で外国語を習得する必要性はここ五、六年急速に減りつつある。間もなく自動運転が実現すると言う時代に入ったのだ。

義務教育におけるグローバル人材の育成
 義務教育における「グローバル人材」の育成は、義務教育が完了した人々で成り立っている成人社会とは全く異なる。そして小学校、中学校、高等学校と成人に成長する過程に応じた「基盤」を育成することが必要である。その能力育成は、適切な時期と順序を逃すと、のちに再び行うことは非常に困難になる。一方、語学力は幼児期に習得しても日常使っていないと衰えると言われている。従って義務教育で幼い時に多大な国費をかけて習得した語学力は、役に立たず無駄になる。産学官で学校での外国語教育の議論を続けている間に、議論そのものが五、六年で陳腐化すると言うことだ。

米国における義務教育の理念
 私は米国カリフォルニアの高度先端産業に現地で一九八〇年から二〇〇八年まで約三十年現地人として生活したが、義務教育期間の「人間の育て方」の日米の違いに驚いた。学校前の幼少時は親が家庭で躾を行い、義務教育が始まると学校が成人となるまでに必要な集団教育を行うのは、日米同じである。以下に米国の例を取り、義務教育期の人材育成を紹介したい。その基盤は、多民族国家における主権在民の自国の民主主義を守るための教育である。国民の意思を尊重する政治が行われるために、国民一人一人が「自分の意思を明確にし、発言できる」ように教育する。

  幼児期の子供に対する人材育成の基本は、親が子供個人の「独立した人権を尊重」することである。日本の親が、えてして子供を甘やかす一方、子供を親に帰属する「もの扱い」をするのとは、天地の差がある。米国の教育の根本は、子供を早期に「精神的に自立」させ、「個人を確立」させることである。米国人の行動の指針は、幼い時から約束した「規則を守る」と言うことである。米国では日本のように、教師が頭ごなしに生徒を叱ったり、命令したりすることはできない。「相手とその意見を尊重する態度と姿勢」は、校長、担当教師、生徒、父兄の間でも堅持される。校長が生徒一人一人ときめ細かく意思疎通するのが大事な役目で、教師の管理ばかりが役目ではない。学校における様々な行事には父兄が積極的に参加する。日本では文科省が要綱で教科の目的を「知識の習得」と定めるが、米国では、生徒に何故、如何に、何がと言う疑問を持たせ「自分で考える能力」をつけるよう指導する。米国の教育では国民各自が意思を明確に発言できるよう指導する。高等学校から授業の中でも「討論」が取入れられ、論理的な質疑が展開される。日本の国会さながらの場面を繰り広げる。米国では積極的で建設的な態度が高く評価される。人間は個人として一人一人異なるので、共通な規則が必要だと言うのが基本的な考えである。



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