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特集記事

Vol.204 -- 2017 年 04 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」 徳川文武

第九十五回 迷走する国際環境と日本の将来

 今年になってから、国際政治情勢も不安定さを増し、経済力、技術力、政治力、軍事力で世界を主導してきた米国だったが、大統領選の結果、不動産王の共和党トランプ氏が大統領に選ばれた。トランプ大統領は、白人偏重で取引に長けるものの、思い込みが強く、政治や組織を動かす能力不足が露呈し、いまだに政権は軌道に乗り切れていない。いちはやく日本の安倍総理は、訪米して米国トランプ大統領と会見、ロシアのプーチン大統領の来日と舞台を飾ったものの、米国とロシア、さらに中国と韓国への対応がまとまらない。長らく続いた韓国大統領が糾弾され、北朝鮮は改良ミサイルの同時多弾頭、同時打上げで日本が対抗不能と揺さぶりをかける。対米ミサイル基地が建設されたロシア北方領土の返還は望みなく、北朝鮮に残された日本人拉致家族の返還は従来の方法では無理と思われる。尖閣島の防衛は、トランプ政権が対応すると言ってくれたので、胸を撫で下ろす。その代わり、高価で危険なオスプレイと超高価なF35ジェット機の購入を強要されるだろう。  ここ数週間、毎日のように一日一億円かかる国会は、不祥事審議で紛糾して期待された成果は出ない。日本の政治家や重要人物は、都合が悪いことを聞かれたり、議事録の開示を求められたりすると、記憶にないとか、議事録は残っていないと応答して、責任を逃れようとする。議会での質疑応答でしばしば見られる状況だ。この原因は、隠蔽と偽証が通用する日本の社会慣習にあり、諸法制度の抜本的改善が必須である。さきほど国会を通過した予算案は、過去最大額、赤字国債額も一向に縮小できない。自民党は政権維持が目的なので、税収を増やす政策を打出さないため、国の財政は破綻状態が続く。 

物欲と贅沢を追求する日本人
 我々日本人はひときわ「物欲と贅沢品願望」が強いように感じる。それには二通りあり、第一は心理的なもの、見栄っ張りのために、不必要に贅沢な商品を所有したい願望だろう。私が住む近隣は、ベンツやBMWが標準的な自家用車なようだ。三十五坪の戸建住宅に住んで自家用車は余り使われていないから、心の満足なのだろう。消費欲の第二は、主に女性に見られる「買い物する快感」で、これまた使いもしないのについつい沢山買う。女性が日ごろから受けている圧迫からの解放感のためとか遊びの一種だと思われる。他人に迷惑をかけないなら、何をしようと個人の自由だ、と言うのは一面正しい。でもどうせ買うなら、国内産業にその利益が戻るような必要量の買い物をすれば国の経済を助ける。生活ごみが増えれば、自治体のごみ収集に負担が増す。トランプ大統領は、輸入関税率を大幅に引き上げ。米国内雇用を改善するのだと言うが、国民に同じ商品を高く買うよう迫ることにもなり、そんな大統領令が議会を通るとも思えない。  自由と言う感覚は、日本人と西欧人と米国人とで違うのではないか。中でも我々日本人が持つ「所有欲」、「贅沢品を持ちたい」と言う願望は、断然世界の先端を走っている。先進国と言われながら、日本女性は結婚すると世界のどの国よりも家計を握ると言われる。社会的にも個人の自由が制限されているのを解放するのが女性の買い物欲望かも知れない。たしかに、世界第二位の金持ち国と言われる日本は、政府の赤字国債額が膨大しても国がつぶれない。それは国民の蓄財を国債発行に当てているからだろう。政府は景気を改善する即効薬は、第一に企業の膨大な利益保留を株主や従業員に還元すること、第二に国民の消費を増やすことだと声高に叫ぶ。 

日本の社会福祉改善と国家財政健全化
 世界的に見て北欧諸国の社会福祉は日本と比較するとはるかに良い。しかし、これを支えるのは国民が支払う高率の税金である。それには高い給与水準を保持できる高収益の企業業績がなければならない。日本企業の収益率は欧米企業に比べると数分の一と言われ、その原因は横並び性能の商品間の低価格競争であり、これを可能にする低賃金の長時間労働である。最近激増しているネット通販は、第一に利用者の利便性(低価格と宅配)、第二にネット技術を駆使した販売の低価格化、第三に宅配労働者の低賃金長時間労働の上に成り立っている。サービス過剰の日本社会では、宅配運送企業間の激しい競争が宅配労働者たちに宅配者に違法駐車料金を負担させるなどの社会問題さえ頻発している。義務教育教員にかかる過重労働、低賃金長時間労働が常の介護、保育園労働者の過酷労働、外食産業の非正規労働者の過酷な労働環境など、数えればきりがないほど、日本特有の状況の改善が進まない一方、雇用者側からは、労働力不足が叫ばれる。  政府が決めた現行の制度は、企業収益率を改善する障害となっているものが多い。雇用者に都合が良い「働き方改革」も良いが、労働者側に立って制度を改めることが必要だ。これが出来るかどうかで、現在の政権の成敗が左右されるかも知れない。 

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