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特集記事

Vol.254 -- 2021 年 06 月号

徳川文武の「太平洋から見える日本」 徳川文武

第百四十五回 切手蒐集の楽しみ

私の切手蒐集歴
 中学校時代に故郷松戸に住む祖父から郵便切手の蒐集の指導を受け開眼した。祖父は戦前海軍の技術高官であったが、アフリカに関心を持ち、関連する狩猟の洋書や郵便切手を蒐集していた。外国に特別の関心がない私の目は、郵便切手を通して世界に向くようになった。郵便切手を見るだけで多くの情報が目に入ることは驚きだった。地元渋谷郵便局の郵趣友の会に入会したり、当時飯倉にあった郵政省の切手普及係を訪ねたら、一九四九年発行の「月に雁の切手趣味週間」の記念切手があったので買った。また飯田橋駅の停車場から逓信博物館が見え、そこに展示された世界の切手の多さに驚き、その多彩なことに驚いた。

 当時は国際文通クラブが盛んに宣伝され、切手趣味を持つ外国人と文通して、郵便切手の交換をするようになった。千駄ヶ谷にある津田塾大学主催の英語学級にも通った。これがのちに実用英語に親しむ機会にもなった。当時は、毎日新聞社主催の第二回全日本切手展に出品応募すると、切手蒐集の態度が良いと褒められ、青少年の部で郵政大臣賞をもらった。学校の英語の成績も上々になり、御利益は大きかった。また私は生来「図画工作音楽」が好きで、文化の違う世界の郵便切手の多彩な図柄と印刷技術に親しむことは大きな喜びになった。当時、日本で郵趣の権威だった三井高陽先生から「郵趣の楽しみ」の講話も聞いた。切手蒐集で金儲けができることも分かった。

 郵趣の会合に出ているうちに、世の中の郵趣愛好者たちには、様々な志向の人がいることが分かってきた。三井先生のような専門家、競馬みたいに投資成果を重視する人、未使用の日本切手をシート買いする人、切手の取扱いが悪くその価値をへらす素人などがいた。私は蒐集する郵便切手の市場価値よりも、図柄の造形的な素晴らしさに魅力を感じていた。

郵趣市場の形成と拡大
 公共の郵便事業が始まったのは一八四〇年の英国で、切手はビクトリア女王の肖像入りで、額面は一ペンスと二ペンスの二種類だった。郵趣人口やその売買商人も増え、英国のギボンスは一八五六年薬局の中に希少価値の郵趣店を始め、一八六五年に郵便切手カタログを発行した。日本の郵便事業は一八七一年に英国から導入された。海外では数十年前からオンラインカタログが公開され、クレジットカードによる売買も常識になった。

郵趣市場での切手の価値
 切手の郵趣価格は、第一に古さと額面と発行枚数、第二に切手の状態と良品の残存数、第三に図柄の人気などで決まる。郵便切手は「有効で未使用」なら使えるが、「きず物」だと蒐集価値は落ちる。日本の「気候環境」では雨季に裏糊が劣化しやすく、乾季に裏糊がひび割れしやすい。太陽光暴露は印面を劣化させ、折り曲げや、目打ち欠けで「きず物」とみなされる。使用済み切手は「気候」の影響を受けず、破損がないなら減点はない。一般的には使用済みは未使用切手よりカタログ価格が安い。切手商による買入れ価格は、運が良くてもカタログ価格の三分の一程度である。だから、未使用「きず物」切手は使ってしまった方が良い。

   郵趣カタログ価格は、未使用美品で額面の二倍以上、使用済みは通常単片で額面の半額程度である。未使用切手は管理が悪ければ価格評価は大幅に下がるが、使用済みの価格は大幅には下がらない。「未使用」切手を郵趣店で買うのは簡単だが、「使用済み」切手は貼ってあるアルバム頁をめくりながら探すので、揃えるには手間と暇がかかる。とくに昔に発行された「未使用」切手は、揃った一組として滅多に売っていないので、金もかかり、運と根気で探す。

 どんな趣味でも、自分の蒐集品の整理方法を考案実施したり、整理表や整理アルバムを維持補完する作業は楽しい。「個人的趣味」とは「他人との共有」でなく「自分で独占」するものだ。何時でも始められ、何時でも止められるのも、個人的趣味の醍醐味である。蒐集品には客観的な値付けも出来るし、自分なりの価値判断も主張できる。他人の趣味の説明に目を開き耳を傾けるのも付合いのこつの一つかも知れない。

切手



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